最後の日 ー晴れて無職ー

あまりこの事は書きたくなかったけど、僕にとって大事な日の一つなのでここに残しておこうと思う。

 

ちょうど昨日、10年以上務めた店が無くなった。

その店は自分の年齢と同じくらい長く続いた店。

 

Closeする理由はたくさんあるけど、責任者でもある自分が閉める決断をしたというのも一つ。

 

その理由も色々、

 

それは置いといて、長く続いた店が閉まることを聞いて、周りの人、お客さんはとても悲しんでいた。とても残念で淋しそうだ。

 

さて、自分はというと、これも正直に言うと「解放感しかない」

 

淋しいとか残念という思いは1%もない。ホントに。

多くの調理器具や器が残っているのを見て、勿体ないなとは思うけど、店自体の存在としての淋しさや残念さはない。

そして自分と同様、コアで働いている人たちも、自分とほとんど同じような気持ちだと思う。

 

このように、働いている内側の人間と、外側の人間の気持ちには大きな温度差がある。 

それは、中で働いている人にしかわからないことだ。もっと言うと、現場にいないとわからない。

  

ようするに、「店が無くなることによって、職場の仲間が幸せになる」という意味で捉えてもらっていいと思う。

 

ビジネスでは、お客様第一、そして会社の売上が2番目、最後に従業員

みたいな構図が昔からあるし、今もあると思うけど、

 

自分の中での順番は違う。

1:従業員の満足度・幸せ

2:お客さん

3:会社

 

もちろん3つ全て大事だけど、あえて順位を付けるならこんな感じ。

 

ただ、世の中そうそううまく行くもんじゃない。

だから限界を感じたし、また自分のやりたいことも見つかったため、今回の結果となったのは真実の一つ。

 

なので、働く人たちが、いかに楽しく充実して仕事できるかが僕にとっては重要だった。

たぶん自分一人だけで回せる規模であれば、また全然違う結果になっていたと思う。

でもそうじゃない。誰一人欠けてもうまくいかないと思ったし、逆にいうと、そんなビジネスモデルも危ないと思った。

 

そして、今回のような中と外の温度差が生まれたというわけ。

 

一応、これだけは伝えておきたかったことかな。

でもこれだけがすべてではないし、他にもたくさん言いたいことはあるし、今言ったことと真逆の感情もある。

あえて言わないけど、、、。

 

そして、今回の件でちょっと考えたこと。

 

形あるもの、ないものも含め、一瞬で消えてなくなるということ。

形あるもので言えば、お店。

よく聞く言葉は「永遠にずっと続く店だと思っていた」

 

なんだかんだ、色々な不況や困難を乗り越え長年続いてきた店なので、

今回のコロナの影響も全くゼロというわけではなく、色々と考えさせられるきっかけを与えてくれたという点では、コロナが原因ともいえなくはないが、

そんな「無くならないだろう」と思っているものも、一瞬で無くなるということを僕たちは知っておいた方がいい。

 

人間だって、いきなり死ぬこともある。

物も会社もそう。いつかは絶対なくなる、または変化していく。

 

だから、そういう意味で、多くの人の予想を裏切り、驚いた反応が見ることができたのは良い経験だった。

 

飲食店のように、目に見えるもの、場所が突然無くなる事は普通にある。

それはコロナのロックダウンの時に目の当たりにした。

 

でも、もう一つは目に見えないものも一瞬で無くなるということ。

人と人との信用とかもあるし、感情だったり、いまならインターネット上での現実にはないものなど、お金もある意味目に見えないものだ。

 

そんなものも一瞬で無くなる。

 

 

まあ要するに、よく言われるような、

「築き上げるのは時間がかかるが、壊れるのは一瞬」

みたいなものを肌で感じることができたわけです。

 

 

でも無くなるものが大きければ多いほど、得られることが多いことも分かった。

 

そこについては、意外に知られていないかもしれないし、“無くなりかた”“壊れかた”によっても変わってくると思うけど、 

無くなること、失うことで「何もない、働き口もない、お金も無い、どうしよう」だったりの不安や精神的な欠乏感などもあるのかなと思いきや、意外と得られるものや入ってくるものの方が多い。

 

なので無くなったもの、手放したもの、壊れたものが大きければ大きいほど、多ければ多いほど、その後に入ってくるものが大きいこともわかった。

だから、何かを手放したり、壊れたりすることを極度に恐れる必要はないんだと、今回の件で感じた。

「自己中心的だ」という意見もあると思うが、それもひとそれぞれなので、どう思ってくれてもかまわない。

 

こんな出来事も僕にとってはとても良い経験になった。

 

実際には、なんとなく頭では感じていたが、この効果・原則は正直面白いと思った。

 

例えば今まで、時間や思考もコップ一杯水が並々に入っていて、常にあふれている状態だったのが、

コップの水は半分に減ってしまった。でも入る余裕ができるから、今度はまた違った、新しい液体を入れることができる。

 

自然の法則というのか、世の中うまくできているなと感じました。

 

もう一つ付け加えると、

「無くなったもの、手放したもの、壊れたものが大きければ大きいほど、多ければ多いほど」って言ったけど、

実際に消えてなくならなくても、

無くなる、手放す、壊す”覚悟”が大きければ大きいほど、多ければ多いほど」と言い換えてもいい。

 

実際には、覚悟を決めた時、すでに今までの世界から新しい世界に進んでいる。

 

だから別にホントに無くさなくてもいいんだけど、僕も含め多くの人は、覚悟だけではなく、実際に行動し体験しないと変われない。

 

 

さて、無職になったものの、まだまだ後始末はあるのでとても忙しいんだけど、

 

最初に言ったとおり、気持ち的には解放感しかないし、未来に対しての恐怖やお金や精神面での不安も、ハッキリ言ってなぜかゼロ。

 

もうこれからが楽しみしかないという楽天的な考えなので、今はこれから何をどうしようか、ワクワクでしかないです。

 

これを読む人によっては不謹慎に思うかもしれないけど、

やっと自由になれた気がして、カゴに入れられていた鳥が外に出て大空を羽ばたいていくイメージが今あります。

 

『束縛の中の自由から、自由のある束縛の世界へ』 

 

世の中・世界がもっと大きいことを知るために、

僕は今まで以上に、厳しい現実を迎えるだろうということも予想しつつ、今日の話を終わりたいと思います。

 

 

最後に、今まで店を通じて関わってきた全ての人達(良い別れも良くない別れも含めて)には、感謝しかありません。

ありがとうございます。