
「料理と人間関係の関連性って何でしょう?」
今日は料理を作る過程で読み取れる、人間関係にも使えるお話をしようと思います。
料理の指導をしていると、
「どうやってやるんですか?」
「どのタイミングで?」
「どの角度で?」
など、聞かれることがあります。
私がよく言うセリフがあるのですが、
その言葉は、料理初心者の子には「わかりにくい」と言われます。
なんて言っているのか?
、、、それは、
「そいつ(食材)に聞いてみなよ」
もしくは
「こいつ(食材)の気持ちになって考えてみて」
です。
実際、私が見習いであれば、同じくわからなかったと思います。(笑)
例を挙げてみますね。
エビのてんぷらを揚げているとします。
「どのタイミングでとりだせばいいのかわからない」という質問に対して、
油の温度、衣の厚さ、エビの大きさ、天ぷらとして食べるのか?ごはんやうどんと一緒に食べるのか?周りからでる泡の大きさ、重さ、色、、、などなど
私自身、経験があるだけに、これらを瞬時に考え、判断して、取り出すタイミングを見極めます。
つまり、それらの要因すべてをひっくるめていうと
「エビの気持ちになって考える」
になるのです。
ですので、私には、エビが「今が一番おいしく食べれるよ!」って言っているのが聞こえるくらいわかります。
お造りを引くとき(刺身を切る時)も同じです。
この魚は、今のタイミングが一番食べごろで、どの角度で包丁を入れたら繊維がどうたらこうたら、、、腹の部分か背の部分か?上身下身などなど
これまた、色々なことを考えながら切るわけです。
それも簡単に言えば
「魚の気持ちになって考えれば、どのように切ればいいかわかる」
ってことになります。
今、例に挙げたことは
はっきり言って、そうとう経験を積まないと難しいかもしれません。
しかし、よくよく考えてみてください、
料理でも人間関係でも同じだと思うのです。
相手のことを観察して、「どういう気持ちなんだろう?」「どうすれば喜んでくれるだろう?」
と常に考えながら行動していれば、徐々に相手の気持ちがわかってきたり、通じ合ったりするようになります。
それはよく“対人間”で使われますが、それを“食材”に置き換えるだけです。
胡瓜(きゅうり)を見て、
「こいつはどうやって食べてほしいんだろう?」
「サラダに入れるならどのように切れば一番おいしく食べれるだろう?」
と考えながら料理をすることです。
そういうことを続けていると、食材と会話できるようになります。
って怪しく聞こえるかもしれませんが、幻聴が聞こえて、妄想の激しい人じゃないです(笑)
要するに、相手(食材)のことを深く理解し、研究し、わかってあげる、気持ちを読み取ってあげることが大切なのです。
これは、特に“日本料理の精神”にもつながります。
「素材を活かす」
これはプロの料理人ではなくても、誰でもできることです。
だって、好きな人ができたら、その人のこと一日中考えていられるでしょ?
それと同じです。
わたしは、その対象に食材も含んで考えているだけです。(もちろん私は普通に人を好きになることはあります)
ようするに、好きかどうか?興味を持っているかどうか?
これにつきます。
だから、食材一つ一つを大切にしたいと思うし、いつもそれぞれの食材の個性を考えます。
さらに、食材だけではなく、食べる人の気持ちも考えて作る。
料理ってそういうものだと思います。
そして料理への取り組みが、人間関係にも通じてくるのではないでしょうか?