新刊のネタバレ

先日、ほんだらけで開かれた『フルオブブックス文学賞』に招待されました。

このPlatypusの前回の記事で、とみんごさんがお話しされていたフルオブブックス文学賞です。

「なんでおまえが?」

と思うかもしれませんが、なんと入賞したからなんですー!やったー!(ぱちぱち)

ほんだらけの動画をすでに見た方はご存知だと思いますが、実は、ひそかに応募していたのです。本名は使わず偽名で。(というかペンネームで)。

Youtube動画はこちら。https://youtu.be/tUfFr1zcgo0

しかも、女性の名前で応募したので、さぞかし参加された男性の皆様は残念に思われたでしょう。

ということで、今回入賞されたのは5人。

その方たちの作品も読ませていただいたので、それぞれの作品の感想を書きたいと思います。

小説書いていて、応募して思ったことは「みんな僕の作品をどう思ったのだろう?」という素朴な疑問です。

それなりに思いを込めて、何度も書き直しているので、読み手にどう思われているのか気になります。

ちなみに、お題の決まりは『出発・スタート』。日本語で最大1600文字程度までの超短編です。

たぶん、僕以外の4人も人にどのように読まれているのか気になると思います。なので、ここでカンタンではありますが、僕からの感想を書きたいなと思います。

ネタバレあるかもしれないので、まずは読んでから僕の感想を読んで、もう一度読み返すと、二度楽しめるかもしれません。(5人の短編小冊子は、ほんだらけ店頭にて)

さっそく、まずは優秀賞のお二人から。

『ジャック』相川優臣さん

犬の話です。

僕もこどもの頃、犬を飼っていたのでとても感情移入できた作品です。

犬視点での物語で、わんちゃんがどのように感じて思って生きてきたのかが書かれています。

これを読むと、僕の飼っていた動物も幸せに思って生きてくれてたのかなーと思い出に浸ることができました。

動物を飼ったことがある方は必見です。

ちょっと泣けます。

『帰郷』清水正さん

「これぞぶんがく~!」って感じの内容です。僕には、こんなに上手に書くことはできないです。

このような文章や漢字の使い方は、読んでいて文学小説ぽい安心感があります。

内容もオーストラリアも関連しているので、個人的には楽しく読めました。

そして、今回のお題である『出発・スタート』をとても上手に表現している作品であるなと感じました。

「The 文学」って感じです。

そしてお次は特別賞の

『名もなき石、温石をめざす。』吉良友木子さん

まず、みんな「温石(おんじゃく)」という漢字が最初読めなかったーと言っていたのはちょっと面白かった。

もちろん僕も読めなかったし、意味も分からなかったけど、あらためて意味を知ったうえで読むと「いい言葉だなぁ」と思います。

これは、シドニーに長年住んでいる人には、ほぼ間違いなく“気付く”物語です。ここではあえて言いません。

感慨深くなる話です。

内容からも、文章の構成からも一番読みやすい作品です。

しかも、日常にあるお店の店主とお客という関係が「なんかあるある」って思わせてくれます。

最後のセリフは、めっちゃセンスいいなーと思っていて、かなりうまくまとまっていると感じました。

一つの店の中で、人生を垣間見れる良い作品でした。

そして佳作の

『歩いて大陸横断』吉村史年さん

ウォーキングとオーストラリアの不思議な?話です。

歩いて、、、って、どれだけ時間かかるんだろうって思って読んでいたら、1年以上かけていたので「まあ、そんなものなのかな?」と思いながらも、

その過程で起こる色々な「配達物(プレゼント)」想像の斜め上をいく発想で楽しく読めました。

所々「食べ物」が飛び込んでくるので面白く、うまく組み込んでくるなーと、文章の流れもキレイにまとまっているなと思いました。

そして、最後は僕の作品

『本とTシャツと私』都久南和花

タイトルの通りですが、本とTシャツがつなぐ話で、僕の実話を女性視点で描いたものです。

内容は、彼との付き合いはじめから別れまで。そして、彼を少し想いつつも新しいスタートを切る。というような感じです。

ただ、これはぱっと見、表面的に一度読んだらそのように感じるように構成しているつもりで、

この物語にはいくつか、隠れた意味を持たせています。

僕自身のことが多いので、読者さんで全てに気付く人はほとんどいないと思います。

まず、都久南和花は「とくみなわか」「TOKUMINAWAKA」。この文字を並べ替えると“僕の名前”になります。

アナグラムというやつです。

次に、タイトル『本とTシャツと私』は、想像された方も多いでしょうが、有名な歌の『部屋とYシャツと私』のパクリ。

ここから、恋愛系の内容だというのを直感的に感じてくれるかなーと思いこのタイトルにしました。

3つめ。

短編ながら、3つの区切りがあります。登場する一人の男性との関係性がそれぞれのパートで違います。

1:友達
2:彼氏
3:過去の人

その中で、話のカギになるのが『本』と『シャツ』です。実話に基づいているので、本もシャツも実在します。

ちなみに、主人公の女の子にとっては“彼”ですが、実際の話、僕にとっては“男の友達”です。

どこか、実際の出来事と違ったり、付け加えたりすることなく、そのまんまの出来事を書いたものです。

それもあり最後の1行となりますが、ここは「ホント」の部分を「本と」と「本当」とかぶらせています。

物語の最後の方で、「新しいスタートをきった、動き出した」という意味も込めています。

また、シャツに書いてある文字と“同じもの”に巡り会う偶然から、他のシャツも同じような“出会い”の効果があるのでは?という発想・推測。

要約すると、3回楽しめる内容で、

一つ目は、プレゼントでもらったTシャツから始まる、不思議な出会いの話

二つ目は、主人公の出会いから別れまでの短編物語

三つめは、男性視点で読んでみる。セリフに関しても、男性でも使うであろう言葉にしています。つまり読み手側の視点次第で、「男友達」という設定も可能である。

<表のストーリー⇒裏のストーリー(僕の実話)>

1:友達⇒ただの友達
2:彼氏⇒親友
3:過去の人⇒疎遠になった友達

という流れの、人との関係性。

以上、読んでいない人からすれば、さっぱりわからないかもしれませんが、今回のフルオブブックス文学賞の感想と僕の作品のネタバレを書きました。