午後10時。
わたしは髭を剃り、髪を整え、スーツに袖を通し、夜の街へ足を踏み出す。
…出勤の時間だ。
こんにちは、こんばんは。ゾンビの気持ちがわかるようになってきた今日このごろのひで蔵です。
今月から新規開業したホテルで夜間支配人(って書くとかっこいいなあ)をやっている。
その経緯はここで書いたけど、いやあ、夜勤っすよ。まさか自分がこういう仕事をするとは思わなかったが、結論からいうと何とかやっている。
世の中には夜勤シフトをやったことがある人ってどれだけいるのだろう?意外といなさそうでいる?それともいそうでいない?コンビニのバイトをやったことがある、なんて人は結構いそうだけど、週5日夜勤専属、という人はあまりいないのではなかろうか。
せっかくの体験なので、こんなのを知りたい人がいるかは疑問だが、夜勤生活者の一端をご紹介しよう…。
私の場合、夜勤シフトは夜11時から翌朝朝7時まで。これはオーストラリアのホテルでは一般的な時間割。
さて、冒頭のように夜10時頃出勤の途につく。行きゆく人はほぼどこかで食べたり飲んだりしていて帰宅の途につく人たちばかり。みなさん楽しげだ。
「ちぇ、いいなあ~、こっちはこれから仕事なのに…」
という嫉妬の気持ちが起きるのは否定できない。
シドニーの夜は早いので、ショッピングモールやオフィス街は閑散としている。そんな時間にしらふで歩くという経験はあまりなかったので、ちょっと街が物珍しく見える。今の時期だとクリスマスのイルミネーションが点灯されていて、その景色を独り占めできるのが数少ない役得だ。
ともかく勤務先のホテルに着き、仕事開始!仕事のことは今度のネタに取っておくのでここでは触れない。
最初はシフトの途中で猛烈に眠くなるピリオドがあったが、最近はそういうこともなくなった。
長いようで短いシフトが終わり、朝番のスタッフと引き継ぎをして帰宅の途につく。
私は徒歩30分ほどの場所に住んでいるので、てくてくと歩いて帰る。
まだ街は起ききっていない気だるさを漂わせているが、お店に品物を届けるデリバリーバンがショッピングモールにたむろしていたり、シドニーの街にごまんとあるカフェはすでに店を開け、モーニングコーヒーを求めるビジネスマンがちらほらといる。
ああ、コーヒー美味しそうだなと、ついオーダーをしそうになるが、それをぐっと押さえて引き続き帰途につく。なぜとならば、これから寝なければならないからだ!
すれ違う人々は、自分とは逆にこれから通勤するわけで、自分がパラレルワールドからやってきた人のような違和感を感じる。
ひとつ困ったことが、帰宅する方角がほぼ東向きな点だ。夜勤明けのゾンビ化した私の目に朝日が突き刺さる。これはドラキュラに十字架くらいのダメージがあり、涙目になってしまう。サングラスが必要だな、こりゃ。
よれよれと歩きながら家に着く。結構この時点で眠気に襲われているが、空腹のまま寝るのは良くないので少しだけ食べ、アイマスクをして外光をシャットアウトして寝る。さすがに8時間働いたあとなのでわりあいすっと眠れる。
でもやはりお昼頃には目が覚めてしまう。ここでエイヤッと起床。
またちょっと食べて、これからの3-4時間がお日様を浴びれるラストチャンス。これを逃さず、なるべく外に出るようにする。
2日に1回位は走りに行きたいし、食料品などを買いに行く必要もある。ここで軽くビールの一杯くらいは飲んでも良しとしている。
そして4時頃にまたベッドに潜り込み、今度は軽く寝る。ちょっと遅めのシエスタ、って感じか。
今度は7時頃に起きる。外はほぼ暗くなっている。ここでまた食事をし、読書したり動画を見たりと、家でアレコレする。
そしてまた出勤時間である午後10時がやってくる。
…というパターンだ。
最初はどうなるか不安だったが、これでまあなんとかやっている。きちんと三食っぽい感じで食べれているし、以前ほどではないがランニングもできている。私の場合一人暮らしなので、家族やパートナーの生活に影響されないのも助かっているのだろう。
さて、困ったこと。これはリストアップしたらきりがないが…
まずこんな不規則な生活なので、日中は頭のなかに薄いレースのカーテンが引かれているようで、今ひとつシャープではない。そして昼間の活動時間が限られるので、仕事の日は大したことができないというのがちと困る。
そしてまだ戸惑っているのが、仕事のない日の生活だ。休みの日までこのような時間割りの生活はしたくないが、普通の人のパターンにすると、昼間に圧倒的に眠くなる瞬間がやってくるということが分かった。
こないだなどは、外でランニングしている最中に猛烈な睡魔に襲われてしまい、これはマズいと、ペースを落としてゆっくり走り歩きしながら家に戻った。私は車を運転しないからいいけど、注意しなくては。
なので、夜勤の日と休日の生活をどうスムーズに移行させるか、が現在の課題である。
健康には絶対に良くないだろうから、あまり長く続けたくないなあ、というのが本音であるが、与えられた仕事は全うしたいので、しばらくはこのちょっと変わった生活の中でいろいろな発見をしようではないの、と思っている。
…それにしても、眠いぜ。
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